世界個人旅行的記録モロッコ→モロッコ2000

2000年1月 約3週間のモロッコ旅行
スペイン→タンジェ→フェズ スペイン(アルヘシラス)から船でタンジェへ→バスでフェズへ
フェズ  旧市街メディナの安宿滞在・メディナ観光で数日
マラケシュ  フェズ〜夜行バスでマラケシュへ マラケシュ観光と沈没(?)10日間位
エッサウィラ  海辺の町エッサウィラ滞在
マラケシュ→タンジェ→スペインへ マラケシュに戻って買物→国内線でタンジェへ→船でスペインへ


スペイン(アルへシラス)→タンジェ→フェズ

記念すべき初のモロッコ入りはスペインのアルへシラスからの船でした。
スペイン側から乗船する時点で、スペイン人や旅行者の姿はほとんどなく、大きな荷物を持ったモロッコ人でいっぱい。

船の中は思ったより近代的で快適な設備です。座席は決まっていないが、ソファースペースがふんだんにあるので、ごろごろしながら行くことも可能です。ただし、モロッコ人で寝転がって過ごしている人はあまりいない。お弁当を食べている人は結構多かった。
私は船酔い防止に寝ながら行きました。ちなみにこちらの人は船酔いすると気軽に吐く。それを見るのがいやなので、ますます深く眠る事になる私。


船を降りると桟橋から港の町の入り口まで少し距離があります。街に入ると(入る前からだが)きつい視線の嵐です。
本人達はただ“見てるだけ”なのだろうが、こちらとしては少しひるみます。日本では相手をじじじーっと見るのは失礼に当たるでしょ?それをやられると結構ストレスなんですね。特にそれまでスペインを旅行していたため、ヨーロッパの無関心ぶりとの落差があまりにもありすぎて・・。

ガイドブックにタンジェは治安や雰囲気があまりよくないと書いてありましたが、確かに・・・。

旧市街を見てみようと足を踏み入れると、道の両端に黒人さんがずら〜っとたむろして、通りかかる自分をじっと見つめてる。うう、こわい。いや怖がっちゃいけないし、自意識過剰なのかもしれんけど、この怖さは理屈じゃないんです。

本当はタンジェで1〜2泊して移動する予定だったのですが、じろじろ攻撃で心が乱れ、このままだと緊張感で倒れそうになったので次の予定地フェズまで一気に移動することに。なんとなく気に食わない場所は、さっさと移動するに限るのです。
 
バスチケットを購入し、バスが出発する時間までタンジェの街を歩いてみました。
ここでタンジェ名物の自称ガイド(の上、自称私のフレンド。身に覚えはないが)につかまり、振り切るのに難儀しました。この後モロッコのあちこちで出会うガイド志望者の中で、この男が一番苦労した。とにかくしつこくて、断っても断っても断っても!動じないのです。結局、タンジェは全くいい印象のない街に終わってしまった。


タンジェ〜フェズへはバスで8時間ほどかかった。車体はやや古いが設備的には問題なく、乗客も一般の家族連れがほとんど。前の座席の若夫婦、奥さんがべらぼうに美人(ベールのかげからちらっとみた)で、だんながかいがいしくお世話をする様子が印象的だった。うんうん、そんなにきれいな奥さんじゃ、大事にしたくなるよねえ!
 
フェズには18時頃到着。新市街からメディナへは面倒なのでタクシーで移動。
門のところで車を降りるとさっそくわらわら〜と人が寄って来る。
宿探しに歩き回る体力がないので、門の横の安宿にチェックインしました。昨日までスペイン(一応ヨーロッパ)の宿だったので、急に暗くて怖くてじめ〜っとしたモロッコ宿にわびしさも倍増です。実際、後で写真を見返すと、初手のこの宿が一番ボロかった。その国初めての宿では、そこそこの宿に泊まった方がいいです。絶対。お金があれば・・。
 
腹が減ってるので夕食は近くのサンドイッチ屋でテイクアウトする。ハンバーグのちっちゃいのをいくつか入れたサンドイッチ。ポテトフライと野菜のサラダをこれでもか!って入れてくれて、すごくおいしかった!モロッコではあちこちでこの手のサンドイッチを食べたけど、日本にもあって欲しい。絶対売れると思う。

食後は宿の少年にいろいろかまわれる。
多分高校生くらいの年齢じゃないかしらん?若いうちからえらいなあ。私がカレの年齢のころは、まあバイトはしてたけど、英語ではるか年上の観光客に物を売るなど、絶対できなかったよ。
英語だよ?モロッコはフランスが元宗主国だから、外国語と言えばフランス語。英語はほとんど通じないのです。英語教育ももちろんないのだろうから、彼が話す英語はまさに彼自身が体得したものなんでしょう。さらに彼にはフランス人ガールフレンドがいて、その娘とはフランス語、私とは英語で話すのです。もちろんモロッコ語(というかアラビア語)も話すので、この年にして三ヶ国語を話すの。


2日目と3日目はほとんどメディナの中を散策して過ごしました。世界遺産にも指定されているメディナの中は、確かにガイドなしだと迷いがちかもしれないけど、個人で歩いている旅行者にも結構会いました。
食べ物の市場・職人の地区・住宅地など、延々と迷路が続くのは楽しい。日本じゃ見ない風景です。
ちなみに私は2日で2回道に迷い、2回とも偶然同じ少年に案内してもらった(お礼に現金かタバコ!?をねだられましたが、子供なのでコーラをおごりました)。
皮なめし職人の地区もメジャーな観光場所だが、あまりのにおいのすごさに見るのをやめてしまった。これは後々まで後悔。

フェズには3日間滞在。メディナの中を散策したり、新市街へ行ってみたり、宿の従業員や他の旅行者とご飯を食べたり。楽しかったけど、旧市街には他の日本人パッカーはおろか、旅行者自体が少いため注目度が高く、緊張した。




フェズ→マラケシュ

フェズからマラケシュへは夜行バスで移動。バスには家族連れも多く、特に不安な感じはなかった。

何度か休憩を繰り返し、翌朝早朝にマラケシュに到着。到着したバスステーションは分かりにくい場所で、旧市街に行くバスに乗る為に、少なくとも5人くらいのモロッコ人に声をかけた。女の子を選んで話しかけたのだけれど、シャイな子が多く、ちゃんと教えてくれません。英語で聞いてるから? やっと美人の女の子がバス停まで連れて行ってくれた。“Welcome to Morroco!”と言ってもらえてすごいうれしかったよ。あ、美人だからというわけでなく。

余談ですが、モロッコ女性には美人が多い。男性のハンサム率(?)はさほどでもないのに、女の子には雑誌のモデルもつとまりそうな、レベルの高い美人が多い。ホントです。

バスを降りてフナ広場を通りぬける。早朝のためか、観光客も現地の人もまばらです。
広場から2分くらいの安宿にチェックイン。フェズの宿と値段は同じくらいだが、格段にきれいで明るくて、清潔です。まだ新しいのか、壁のペンキを塗っている途中のところがあちこちあります。通りに面した窓のある部屋で、シャワーとトイレは共同。1泊40DHです。 

さて、マラケシュといえば、一番メインの見所はやはりフナ広場です。大きな広場の中にたくさんの屋台が並び、ハリラ(モロッコの野菜スープ)やケバブ、おかず、オレンジジュースなどを飲んだり食べたりできます。しかし酒はない。イスラム教なので仕方ありませんが。
また、大道芸人がたくさん集まる「大道芸のメッカ」とも言われているそうで。期待して見に行ったのですが、うーん?あまり芸人としてのレベルは高くないみたい?でも数は出てる。
大道芸で“おお”と思ったのは、寸劇くらい。ただし、内容は全くわからない。後はアフリカンダンスとか占いとか猿回しとか、とにかく色々出てる。

そうそう、ここはものすんごくチカンが多いですね〜。日本人女性は男性旅行者に頼んで一緒に行動するか、決して後ろを見せないか?大道芸を見ようとして人の輪に加わると、必ず不自然に後ろに立つモロッコ人がいるのです。チカンにとっても、フナ広場は活躍の場?

夕食に豆や野菜が入ったハリラというスープと魚のフライを食べました。ハリラには「ハリラ専門屋台」があり、スープを飲んだら別の屋台に移動してご飯を食べる、というシステムで少々面倒くさい。


マラケシュは観光地でごみごみしてるし、観光客ずれしてる人も多かったけど、なぜか居心地がよく、結局2週間くらい滞在してしまった。これも沈没というのだろうか。。
しかしそれだけいると精力的に観光などするわけがなく、良くて2日に一箇所です。
日々はほぼ同じことの繰り返し。毎朝11時頃にのそのそとおき出して、近くの食堂に行きクレープとおぼしきものを食べる。厳密にいうとクレープの分厚くなったもの。それに蜂蜜とバターをたっぷりつけてもらい、カフェオレと共に、が決まりメニューになった。
そう、カフェオレはうまいです。私のいつも行く店では普通のグラスにあつあつのカフェオレをいれてくれたけど、ミルクがおいしいのか、いれかたがうまいのか、とにかくおいしかった。逆に、普通のコーヒーはまずい。あまり皆さんコーヒーを飲まないのかも。

飲み物といえば、長く滞在したわりに、飲みに行く機会があまりありませんでした。モロッコには特に名産のお酒もないし、ワインも造ってないみたいだし、酒に関して期待はできないようですが。アルコール抜きも味気ないので、新市街に行ってワインを買い、宿の屋上で飲んでました。屋上で日向ぼっこしながらワインを飲み、眠くなったらうとうとしてまた起きてはまた飲み・・・多分、私の人生で一番“怠惰”というものを味わった時期だったと思います。

温泉好きなのでハマムにもしょっちゅう行きました。ハマムとは、イスラム圏によくある公衆浴場のこと。お湯につかるお風呂と違い、サウナのような暑い場所で身体をふやかし、垢すりをするのが主流です。3日に1回は行ってたと思う。きっとそんなに頻繁に行く必要ないんでしょうが、乾燥した地域で肌はかさかさになるし、お湯をたくさん使えるのは貴重。
ちなみにモロッコの女の人には巨乳が多い。しかもハンパじゃなく。スイカが2個くっついてるかんじ?誇張じゃありません。ホント、見たらカルチャーショックと自信喪失になること請け合いです。


宿の人は安宿にはめずらしく、ほったらかしにしてくれるおとなしめの青年で、これも居心地良かった理由。いろんな日本人旅行者にも会ったし、マラケシュの人とも少しは仲良くなったし。
今まで色々な場所を旅行したけど、1つの場所にこれだけ長くいてしまったのは、ここくらいでした。




マラケシュ→エッサウィラ

2週間滞在したマラケシュからちょっと海方面に行ってみることにする
マラケシュの民営バスターミナルからエッサウィラへ。マラケシュからは3〜4時間で到着するエッサウィラ。バス停はやはり街中から若干はずれにあり、目的の宿まで重い荷物を引きずりました。
 
安宿以上ホテル以下、といった宿にチェックイン。部屋は窓付きなのに日当たりがないので残念。でも掃除はきちんとしている。ムーレイハッサン広場に面した、ガイドブックにものっているボーリバージホテル。特に屋上の眺めが良く、イスなどもあったので、しょっちゅう日向ぼっこをしていました。
また、ホテルの目の前はカフェだらけで普通にお茶を飲むにも便利です。

エッサウィラに来たらぜひ試すべきもの、それはシーフード(とガイドブックにある)。港に面した、シェ・サムでモロッコ初めてのきちんとしたコースの料理を食べちゃった。でも食べきれる量ではない。普通一皿で十分の料理をこれでもか、と持ってきた。ワインも飲んだりして、1日で確実に3キロは太っただろう。前菜〜メイン〜タジン〜デザートだよ。

街の雰囲気もマラケシュのごっちゃ〜とした雰囲気と少し違い、確かに洗練されてるかんじです。海が近いからか街の色合いがクリアーに見えるし、お土産もハンドメイドの凝ったものが多い。

町全体がこじんまりとしているので、のんびり静かに滞在するのに向いています。モロッコ人の旅行者も多いらしい。
海沿いの展望台は風が強いが眺めがすばらしい。座ってぼーっとしてしまう。また、スークもまっすぐ、きれいに並んでいて、見やすいです。

ちなみにここでもハマムに行ってみた。マッサージは頼まず、純粋にサウナ気分を味わうのみにしましたが。
同宿の日本人学生に“モロッコでハマムに行かないのはおろか”と薦めたところ、彼は“なるほど”とすぐにトライしにいきました。しかし思ったよりすぐに帰ってきた上、“2度と行きたくないところ”と言う・・・。男性用はナゾです。

 
滞在中は毎日シーフード三昧で、冗談でなく、太った。全然運動することないし、緊張感も緩むし。
旅行中は緊張感と他に興味が行ってしまう理由から、私はご飯をあまり食べません。そのためたいてい痩せる傾向にあるのですが、エッサウィラでは滞在すればするほど太る、という珍しい現象が。
 
そんなこんなで、私にとってエッサウィラはおしゃれで居心地よくて、おいしくて楽しい、好印象の街となりました。




エッサウィラ→マラケシュ→タンジェ→スペインへ

静かでのんびりしたエッサウィラライフに満足し、またマラケシュへ。

エッサウィラからマラケシュはまたバスで戻る。帰りのバスは控えめに言ってもボロいバスで、その上ぎゅうぎゅうの満席。隣のおねえちゃんはぐいぐいよっかかるし。短い行程だからがまんしたけどね。

同じ宿にまた行ってみると、“また来たの〜?”的歓迎をしてくれた。前の部屋よりランクの高い部屋を、同じ料金にしてくれました。
マラケシュでお土産を買おう、と思っているので、滞在中はさんざんスークを見まくりました。広いスークだけれど、売っているものは同じ、という店が多く、商品の種類的にはさほどでもないのかも?
 
魅力的なのはランプシェードや絨毯。絨毯は素朴なデザインが多く、色も日本の家に合いそう。
アンティークのインテリア雑貨や紅茶グラスもかわいい。革製品は日本の湿気に耐えられないかもしれないので手は出さない方がいいかも。絨毯もべらぼうに高いと思っていたので、こちらも手は出せません。
スパイスと陶器を少し、アクセサリー、シャンプーの石を買う。シャンプーの石とは、石を崩しながらシャンプーにする、という変わったもの。ハマムで使ってる人もいたけど、洗浄力とかどうなんだろ?ま、記念にね。

帰りはダイレクトにタンジェへ行ける飛行機を使うことに。ロイヤルエアモロッコのオフィスは新市街にあり、なぜか持っていた学生証のおかげで、ほぼ半額のチケットが手に入った。学生バンザイ。
 

来る時はバスで何時間もかかった距離も飛行機ならぴゅーです。
マラケシュ→カサブランカ→タンジェなので、直行ではないけど、それにしても早い。日本では1区間飛行機に乗ると万単位だが、こちらは数千円で国境までつれてってくれる。時間が無いときには有効だと思います。
タンジェの飛行場から船着場までは、飛行機で一緒だった日本人学生たちとタクシーで。一人でタクシーか、と思ってたので、ラッキーだった。




モロッコ旅印象

モロッコ旅行前の情報源は主にガイドブックやエッセイなど。女性一人旅に関してはかなり「おどし」っぽいものも多く、そうでなくても買物やガイド攻勢で個人旅行者は苦労することがわかっていました。
しかし行く前に想像&覚悟していたほど、モロッコは大変ではなかったです。
これは一番初めに見た場所がタンジェだったため、その後の訪問地がより居心地よく、楽しく過ごせた、というのもあったと思います。モロッコ全土がタンジェ風だったら、宿から出ず、観光も外遊びも夜遊びもしなかったのではないでしょうか。

ただ、これまでの旅行歴とか旅行者の性格、トラブル遭いやすい度(私は低い方です)によっても印象は違うでしょう。

観光客慣れしている場所でいやな目にあうことはありましたが、他の国に比べてモロッコがずば抜けて難しい、ということはありませんでした。いいことと楽しい事、刺激的なこともたくさんあったので十分おつりがくると思います。個人的には好印象の国です。


今度来た時には、砂漠に行ってみよう、と思いました。











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