世界個人旅行的記録マレーシア・ボルネオ島



マレーシア・ボルネオ島
2007年1月 マレーシア・ボルネオ6日間
  ・日本からコタキナバルへ
  ・サンダカン セピロック
           テングザルサンクチュアリ
           日本人墓地         
  ・クリアス川リバークルーズ
  ・コタキナバルから日本へ
  ・ボルネオ島旅行感想



コタキナバルへ


ボルネオ島のコタキナバルまではマレー半島にある首都クアラルンプールから飛行機でおよそ2〜3時間。
日本からの直行便を利用すれば、かなり時間の節約にもなるのですが、直行便の運行は毎日ではないようで。私はクアラルンプール乗換えの乗り継ぎ便を利用しました。

利用したマレーシア航空はすこぶる快適でした。
1月終わりの平日という中途半端な時期の為か、成田→クアラルンプール間はそこそこ空いています。5人掛けのシートの端に私、反対側に同じような一人旅の日本人女性が座りました。2席ずつ使えると、寝るのも普通よりずっとラクです。
パーソナルTVがついているので映画も好きに見れるし、機内食もそこそこの味だし、アジア系航空会社にありがちな美人スタッフ揃いで、愛想もよくて制服もかわいい。

成田→クアラルンプール便は、乗客のほとんどが日本人でしたが、クアラルンプール→コタキナバル便ではほとんどがマレーシアの人々のような。飛行機はシート3列×3列の狭い機内で、ぎゅうぎゅうです。

飛行機がクアラルンプールを飛び立つと外はもう真っ暗。窓の外を見ても何も見えません。

夜に空港に到着するのもものさびしい気分になりますが、夜に空港を飛び立つのはもっとさびしい。
飛び立つ時点ですでに夜なのに、到着するのはもっと遅くなってからなんだ・・と思うと、やっぱり不安な気分になるのです。

機が空港に着陸し、乗客がわらわらと降りる準備を始めたので、私も急いで荷物を降ろしました。時計を見るとまだ9時過ぎ。予定よりも1時間以上早く目的地に着いた計算です。
今日はずいぶんと追い風が強いんだなあ、荷物も軽かったのかな・・と思いながら出国ゲートに向かい、ターンテーブルで他の乗客と一緒に荷物が出てくるのを待ちました。
しかし最後になっても荷物は現れず、げげげっ!しょっぱなからロストバゲージ!?と怒りモードで係員に荷物のシールを見せました。すると彼は「おいおい、ここはコタキナバルじゃないよ?」と。

この時のショックと焦りは、この旅行中最大のものでした。(あ、やっぱデジカメ壊れた時の方がショックか。いや、ジャングルツアー中止の方が・・。)

ええー!!コタキナバルじゃないの??
なんで途中停車するの??飛行機は各停じゃないでしょ普通?!なんでなんで?

係員のおじさんはフガフガ言ってる私を制し、やけに落ち着いた様子で「こっち来い」と歩き出しました。
そう言われてみると、確かに空港は(国際空港のわりには)小さい。そして飛行機を降りる時に、まだ機内に残っている乗客もいた。。いくら追い風が強くても1時間以上早く着くはずはないし、何よりもきっとアナウンスで「ナントカ空港到着です」って教えてくれてたはずなのに!
アナウンスなんて挨拶と酸素マスクの使い方だけだから、全然聞いてなかった。英語の弊害がこんなところに。。

まあ、結果的にはここから乗る乗客もたくさんいたため、おじさんについて搭乗口に行った時には、飛行機はまだそこにちゃんといてくれたのです。はあ〜〜・・・。

ちなみに、こういった時(完全に私の注意力散漫によるトラブルが起こった時)、まず一番に考えるのは「1人でよかった!」です。友人や肉親が一緒だと申し訳なくていたたまれない。自分1人が苦しむ分には自業自得なので。

飛行機は何事もなかったかのように飛び立ち、野を越え山を越え、また数十分後に着陸しました。
今度はしっかりとアナウンスを聞き、時間も予定通りなのを確かめ、周りの乗客が1人残らず準備をしてるのを見てから荷物を降ろしました。
もうこの時点で精神的にへとへとだったので、当初考えていた空港での夜明かしはやめて、少しでも宿のベットで眠ることにしました。もっとも、コタキナバルの空港は夜明かし不可のようなんですが。。
飛行機を降りた乗客はほとんどが地元民(に見える)。外国人旅行者があまりおらず、ターンテーブルからさっさと荷物を持って、さっさと歩いていってしまう人ばかり。私も現れた荷物を持って、出口に向いました。

マレーシアの通貨はリンギットです。銀行や両替所で日本円→リンギットの両替ができるはずなので、開いている空港の両替所を探しました。しかし、開いていない。。どこも閉まっている。銀行も両替所も・・。

イングリッシュ・ティーハウス。見晴らしの良いおしゃれカフェです。
インフォメーションの人に「両替できる場所はない」ときっぱりと言われ、タクシーチケット売り場の女性に「日本円じゃチケット売れない。カード?だめだめ。」とはっきり言われ、途方に暮れたけど、まあ待て。世の中捨てる神あれば拾う神あり。
「着いたらホテルで両替して払うからいいでしょー?」と再度チケット売り場のお姉さんにお願いしたら、「ドライバーが良いって言えばいいわよ」だって。チケットだけを切ってもらい、タクシーの運ちゃんに「お金、ホテルで両替して払うけど、いい?」と聞いてみるとあっさり「いいよ」と。

すでに時間は23時近く。
これから宿に向かって寝てまた明日の11時頃空港に戻ってくるので、とにかくベットさえあればどこでもいいのです。
ガイドブックに載っていた24時間フロントオープンの安宿に向かいました。

タクシーは真っ暗な夜道を走り出し、いよいよ異国への第一歩。
真っ暗で最初は外の様子がよくわかりませんでしたが、車が街中に入ると、ホテルやビル、この時間でも営業している食堂やファーストフードが見えました。思ったよりもご飯食べたり道を歩いたりしている人が結構いて、なんだかホッとします。少なくとも、夜になると真っ暗で人気のなくなる町ではない様子。よかったよかった。

車がトレッカーズ・ロッジという安宿に止ると、運ちゃんに「お金持ってくるから待ってて!」と言ってフロントに向かいました。古ぼけたビルの2Fがフロントになっています。24時間OPENとあった通り、フロントにはおじさんとおばさんが1人ずつ。さっそく「タクシーで来たけど、両替しないとお金がないの。金貸して。」とお願いすると、おじさんは(内心「到着早々借金かよ!」と思ったでしょうが)快くタクシー代20RMを貸してくれました。
運転手にお金を払い、またフロントに戻ってチェックインしました。

寝るだけなのでドミトリーで結構です。
このドミトリーってやつ、私の年代の女性には結構抵抗あるかもしれません。他人と一緒だとプライバシーもないし、トイレもシャワーも部屋の外にあるし、全然「OLが休暇を満喫!」って雰囲気じゃないしねえ。
男女MIXてのも珍しくないから、カレシでもないのに隣のベットに男が眠っている・・ということも。
まあ何泊もする場合は考えますが、今夜はこれから寝るだけなので。。

幸いにして今夜は宿泊客が少ないのか、8人部屋の女子ルームに私ひとりとなりました。
シーツとタオルは貸してくれます。部屋の向かいにあるシャワールームはきちんと掃除してあるし、寝苦しい程の気温の高さですが、エアコンもある。
せっかくだから、記念すべき1泊目ドミの写真撮ろー!と思ってデジカメの電源をつけたら、液晶画面が真っ黒になってる・・・。なぜ?
うろたえながらあちこちいじくりまわし、30分くらい格闘しましたが、真っ黒は真っ黒。うんともすんとも言いません。
なんだろ・・・・呪いですか?


サンダカン

朝になったので、また気を取り直してデジカメをいじくりまわしましたが、やっぱり真っ黒のまま。。
もういいや。デジカメのことは忘れよう!
とはいえ、せっかく自然の美しい島なのに、写真全くナシというのもきついので、近所のデパートで両替をするついでに、使い捨てカメラ39枚撮を購入しました。ないよりは全然マシです。
本日は日本からメールで予約をお願いしたキナバタンガン・ジャングル・キャンプに1泊2日で向かいます。

宿泊したロッジの周辺
サンダカンの空港からの送迎もお願いしてあります。
でもロッジのマネージャーのロバート氏から「コタキナバルから電話してね」とメールがあったので、公衆電話から電話してみました。

0.20RMのコインは15秒に1個くらい落ちるので、英語の拙い私は時候の挨拶もできません。「あ〜今日予約したwakyですけどー、どうもどうも。いやあ、天気いいですねえ。絶好のジャングル日和ですねえ・・・」とここまででコイン3枚使いました。
めげずに再度コインを4枚入れ、「ごめんごめん、公衆電話でかけてるんですよ。いやあ、コインなくなるの早いですねえ、はは。ところで今日は12時半に飛行機で空港に到着・・」ここでまた切れました。

電話に出たのはロバート氏の奥さんで、アニーさん。なんか色々喋ってたけど、とにかく到着時間は知らせたし、何回掛けてもロクに喋れそうもないので、このまま行っちゃうことにしました。

コタキナバル〜サンダカン間の飛行機は、エアーアジアです。事前にエアーアジアのHPでチケットを購入し、プリントアウトした紙を空港のカウンターで出せばすぐにチェックインできます。

12時過ぎに飛行機はコタキナバルを飛び立ち、約40分でサンダカンに到着しました。
サンダカンの空港も小さい!そして、相変わらず両替の場所がない・・。

到着の出口を出ると出迎えの人がそこそこいますが、私の名前を掲げて立っている人がおりません。
遅れてるのかも、と思って近くのベンチに腰を下ろし、出口を行き来する人を眺めることにしました。10分くらい経って気が付くと1人押しの弱そうなおじさんがボード(よく名前が書いてあるあれ)を持ってウロウロしてます。
“ちょっと前に出ようかな・・あっ!でも出過ぎか。恥ずかしいな・・ちょっと下がってようかな”と人々の後ろでウロウロしています。うーん、あれじゃあもし今出て来たとしてもわからんだろうなあ。

近よって行くとおじさんがホッとしたように、「wakyさん?はじめまして。ロバートです。」と握手してきました。
会って早々、ロバート氏は「今日はなんとかかんとかの理由でなんたらがキャンセルになって、だからサルを見に行ってなんとかかんとか・・」と説明し出しました。

英語のコミュニケーションには相手との相性というのも大きく関係してくる、と常々私は思っております(私の英語力がどうこう・・はとりあえず置いといて)
同じ内容でも人によっては驚くほど良く通じる場合もあり、また、いくら話しても全然通じない場合もあり・・。このロバート氏とは(いい人だけに、とってもとっても申し訳ないのですが)英語の相性がよろしくなくて、正直何を説明しているのかよく分かりませんでした。
・・・ちなみに、関係ありませんが酒を飲んで酔っ払うと普段よりも英会話力があがりません??

ロバート氏「ペラペラペーラペラ・・・・ペラペラリのランチ行く?インド料理好き?」←ここだけわかった!
「好きー。お腹も空いてる。でも両替もしたいです。」という事で車へ。
このペラペラ語の中から私が理解したところによると、本日のジャングルツアー、天候の為かジャングルクルーズができない、とのこと。その代わりとして、おサルとオランウータンの公園に連れて行ってあげる、と言うのですが。

リバークルーズができないのは残念だけど、明日天気が良くなればできるかもしれないし。それに、夜のナイトウォークでのジャングル散歩なら、船に乗らなくても動植物が見れるだろうだから、代わりにそれでもいいかなー。・・と思っていたのです。この時は。

散歩の途中で。野次牛根性のある牛君たち。
車は途中で両替所に寄り、その後インド料理店に向かいました。
サンダカンの街は、コタキナバルに比べるともっとずーっとこじんまりとして、山の濃い緑が迫っていて、また海もよく見えます。新しい住宅地やビルや店舗がある反面、海の上には水上集落がずーっと続いているのが見えます。
太陽がしっかりと照っていて気温も高く、とても「天候の為、クルーズができない」ようには見えないんですが・・。

インド料理店のランチはおいしかったです。
メニューがよくわからないので、料理が並ぶところに見に行き、チキンカレーとご飯を頼みました。マイルドでちっとも辛くない、食べやすいカレーです。店には入れ替わり立ち代りお客さんが入ってきて、にぎやかな繁盛店です。

ロバート氏「ペラペラペーラのクルーズの代わりペラリ。オランウータンはえさの時間がペラペラン。この後、ボクの奥さんのアニーにペラペラペーで、カレーうまい?」
・・まあ、ここまでひどくはないか、な。でもおおむねこんな感じ。

食事が終わると、どこに行くのかよくわからないまま、また車で出発しました。
山の方に向かい、セピロック・オランウータンセンターの看板が見えたので「オランウータンを見に行くんだ!」と思いましたが、車はそのまま通り過ぎ、その少し奥にあるB&Bに止りました。
おや・・?と思っていると奥から元気の良い女の人が出てきて、「さっきは電話でどうも!アニーです。」と。ロバート氏の奥さんのアニーさんです。
そしてここでやっと、何度も彼が繰り返していた「キャンセル」の意味がわかりました。幸い、アニーさんは英語相性の良い人で、すぐに説明が理解できました。

ア「雨期で雨がひどくて、道路事情が悪いのよ。ジャングルウォークやジャングルクルーズはとてもできないわ。だから、ツアー自体がキャンセルなのよ。」
ガーン!

ア「そうは言ってもあなたももうサンダカンに来ちゃってるし、代わりと言ってはなんだけど、オランウータンセンターやテングザル公園に連れて行ってあげる。たくさんおサルが見れるわよ。他にも行きたい所があれば・・。」
ガーン!ガーン!

ア「電話でキャンセルの事説明したかったんだけど・・切れちゃうし・・。」
ガガガガーーン!!!
しばらく立ち直れないほどの衝撃。

アニーさんが横で一生懸命「ホラーここも自然がきれいでしょう?動物もいるのよ。ジャングルみたいよー。」と励まし(?)てくれますが、ごめん。今はやめて。ちょっとだけそっとしておいて。
ちゃんと自分で考えないと。

いずれにしてもサンダカンまで来てしまっているし、帰りのチケットは明日の夜だから、結局ここで過ごすことになるんだ・・・。で、ジャングルには行けないんだ。絶対無理なんだ・・(と、ここで念のため、アニーさんに「ジャングルには絶対入れない?」と聞くと「試しに行ってみてもいいけど、帰って来れなくてもいい?」と。いいわけがない。)。

・・・・よし。

だったらもうサンダカンを観光しよう!サルを見よう!オランウータンも見よう!この自然がいっぱいで素敵なロッジに泊まろう!!過ぎた事は振り返らない。もうデジカメもジャングルも全て忘れて、サルとオランウータンの事だけ考えよう!がんばれ、自分!

もう自分を鼓舞してポジティブ方向に持っていくのに必死。
1つのことを諦めて次に行くにはある程度の時間が必要だけど、ここではせいぜい2〜3分しかないので。(なぜならオランウータンセンターのえさの時間が迫っている。オランウータンセンターに行っても実際に彼らを見れるのはえさの時間に集まってきた時だけ。それ以外の時間は人に見られない場所で過ごしているらしい。)。

ジャングルはすっぱりと諦めて、改めてアニーさんに今日&明日の行程と料金の交渉を。
セピロック・オランウータンセンターとテングザル・サンクチュアリに車で送り迎えしてもらい、明日町にも行きたければ相談可。飛行機の時間までに空港に送り届けるので、各種入場料と食事代は全部自分で払って、ロバートさんには2日間のガイド兼専属運転手をお願いすることにしました。

アニーさんと握手をし、すぐに部屋に向かいました。
荷物を置いてまたロバートさんの車に乗り込み、セピロックのオランウータンセンターに向かいます。
宿泊したB&Bからセピロックまでは車で数分。おそらく歩けるくらいの距離だと思います。
駐車場にはバスやワゴン車が何台もとまっていて、観光客がたくさん来ている様子です。
時間ギリギリなのか、ロバートさんが「入り口あっちだから、急いで行って!」と。あわててチケット売り場に行くと、すでに何人かの観光客が窓口で断られています。

窓口の係員は「もうえさの時間が終わっちゃったから・・今行ってもおサルは見れないよ。入場はできるけど・・入る?」と。

セピロック/オランウータン・リハビリテーションセンター
いや、入らない。
また明日の朝来ればいいので、とりあえず小さな展示室のパネル展示とインフォメーションセンターでビデオ上映のみ見て帰りました。

宿で私を降ろすと、明日の朝の約束をしてロバートさんは帰っていきました。
いつもニコニコしてて、すごく感じの良い人です。完全にアニーさんの尻にしかれてるけど・・・って、余計なお世話か。

宿泊するB&Bには他にお客さんがいないらしく、カフェにいるスタッフの女の子数人と、庭仕事している男性以外、あまり人を見かけません。私の部屋のある建物には玄関に広めのポーチがついていて、ちょうど夕陽に面していたため、久々に“サンセット・ショー”を見ました。
そう、天気はとても良いのです。オレンジ色の夕陽と少しずつ色が変わっていく雲が、ああ、今旅行中なんだなーという気分にさせてくれました。

日が沈む前からカやヤモリがその辺をうろちょろしていましたが、日が落ちて建物に明かりが入ると、蛾や小さな羽虫が電気に集まってきました。周囲の森の中から聞こえる虫の音が急に大音量になり、ホーホーって・・これはふくろうですか??

建物の一番奥にある私の部屋は玄関以外唯一明かりの灯る場所だったらしく、窓や廊下から色んな虫が寄って来る気配が・・。これって軽いホラーです。一応網戸はしてあるのだけど、ガッツのある輩は中に入ってくるしね。
そもそもジャングル行にあたり、ある程度の虫体験は覚悟の上でしたから、心頭を滅却し、なるべく見ないようにします。洗面所の水エリアも、ライトな虫(ヘビーな虫の筆頭はゴ○ブリ)がそこここにいるけど、これまた気にしないようにする。

しかし夜が深まるにつれ、廊下のすぐ外から「タタタタ・・タタタ・・タタタン!!」と明らかに“何かが近づいてくる”音がする。そして「カリカリカリ」とドアをひっかく音がする。若干うちの猫の爪の音に似ているような、でももう少し小さな生き物のような・・?猫ならニャゴニャゴ言うし。何?なんですか?
音的には哺乳類・・・でも巨大昆虫という可能性もあるよ!
私が眠るまで「タタタタ・・・カリカリ・・」は続くのでした。


セピロック・オランウータンセンター

恐怖の一夜が明けて。
朝になるとうそのように静かで、鳥の声なども聞こえ、全く何もなかったかのようにリゾートを装うところがまた憎い。

今日もロバートさんが1日運転手兼ガイドとして付き合ってくれます。セピロック・オランウータンセンターのフィーディングタイム(えさの時間)に間に合うように、早めに向かえに来てくれました。

朝から天気は上々。ぴかーっと晴れて、とてもジャングルツアー中止になったとは思えません。(未練がましい)
オランウータンセンターに着くと、昨日に増してたくさんのツアーバスやワゴンが駐車場に止まっています。このセンターでオランウータン&おサルが見れるのは、1日に2度行われるフィーディングタイムしかないので、観光客もこの時間にしか来ないのでしょう。
入り口でチケットを購入し、木でできた渡り廊下のような道を通って森を抜けていきます。この辺の植物にはやはりジャングルらしさの片鱗がちらりと見えたりします。くっきりとした緑の色と大きな葉っぱ、大きな木。

歩いていくと前を行く欧米人カップルが立ち止まってこちらを振り返り、「あそこにオランウータンがいるわよ!」と教えてくれました。
ホントだ!大きなオランウータンが木の手すりに乗っかってこっちを見てる。やったーラッキー!と思ってウキウキしながら駆け寄ったら、でかウータンは突然カップルに襲い掛かってきた。即逃げる。

少し離れた所から行く手を遮るオランウータンを見ましたが、「絶対ここは遠さねえぜ!」って様子でどーんと座っています。係りの人がやって来て、「おお、君達ラッキーだね。彼は一番大きなオランウータンで、Mrジーって言うんだよ^^」と教えてくれました。

係りの人の誘導で無事そこを通り過ぎ、エサやりの場所に到着。ちょっと広めのウッドデッキのような場所には観光客がたくさん集まっており、私も座ってご飯の時間を待ちます。

やがて時間になると、森の奥の方で木や葉がガサガサッと動き、1匹、また1匹・・とおサルが現れました。森の中には電線のように木から木へとロープが張ってあり、そこを器用に伝いながらおサルが集まってきます。
バケツを持ったスタッフが現れ、ぽーんぽーんとバナナを投げていくと、要領が良くて大きくて強いサルから食べ物を取って行きます。

いや〜厳しい世界だ。。小さくてやせこけた子ザルにバナナをあげるべきだよなーと思っても、一瞬早く大きくて図太いおサルが持っていってしまう。しかもすでに手に1房持ってるんだから、さらなる1房に手を出すことないのに・・。
やがて御大(オスのオランウータン)が現れると、今度はバナナは次々と彼が持って行ってしまう。手にバナナを持ち、さらに足で押えて次もキープ。食べ終わった皮をポイポイっと投げると、ササッと手を伸ばして皮をかっぱらう小さなサル達・・。
デッキ上にいるたくさんの観光客は、アイドルを激写するカメラ小僧並の熱心さでオランウータン&サルを激写。
特に1匹しかいないオスのオランウータンは大人気で、彼も自分が注目度bPなのを意識してか、必要以上にポーズを取る始末です。

ロープを伝ってスルスルと移動を始め、我々の前に来るとぴたりと止ってフォト!フォト!と言ったり
・・はしないけれど、とにかくポーズを決めてくれます。

この10倍は人がいます。
しかしこれだけ人間に注目されて、カメラでバシャバシャ撮られて、よっぽど神経図太いオランウータン&サルでなければここには来れないでしょう。現に、引っ込み思案はずーっと森の奥でもじもじしている様子でした。


テングザル・サンクチュアリ

ロバート&アニーさんお薦めのテングザル・サンクチュアリ。テングザルがたくさん見れる公園だそうで。

ここに向かう道がまたすごいのなんの。
サンダカンの市街地から車でざっと1〜2時間の距離なのですが、穴だらけの未舗装道路を走ると、車はバンボンとジャンプするし、とにかく胃に来ます。ああ、なんだか強烈にタイ〜シュムリアップ間の陸路の記憶がよみがえるなあ。
「ぐッ・・」「うっ・・」などと言いながらひたすらおサルを目指して走ります。

周辺はジャングルではなく、パームツリー林。どこまでもどこまでもヤシの木が続きます。時々道端にヤシの実が山と積まれ、何台かのヤシの実満載のトラックともすれ違いました。これらは油にしたり、化粧品や石鹸にするとのこと(ロバート氏談。だいぶ意思の疎通ができるように^^)。

ざっと1〜2時間も走り、やっと到着したテナガザルパークでは、またまた入り口で「もうエサの時間終わっちゃった」と言われました。
ガーン!

「入ってもいいけど、おサルはいないかもよ?いい?」
ガーン!ガーン!(昨日からこればっか)

あまりにもがっくり来たのを気の毒に思ったのか、受付の人は電話を掛けて中のスタッフにサルの様子を聞いてくれました。「まだ少しいるみたいだから、見れるわよ。急いでね。」と言うので猛ダッシュでチケットを購入し、中に向かいました。

先ほどのセピロックとはうって変わって、観光客が殆どいません。先客は欧米人のカップル1組だけ。ここはロッジのような2階建ての建物に上がり、2階のカフェからおサルを眺める・・という方式。壁もなくてオープンなので、空気が気持ち良いし、見晴らしも良い。でもおサルのいるエサ台からはだいぶ離れていて、そういう意味では先ほどのセピロックの方が良かった。さらに建物の新しさや周辺の植栽の様子から、こちらの方がより人工的な印象を受けます。

テングザル・サンクチュアリの見物場所
サービスで出されたアイスティーを飲みながら、のんびり座っておサルを眺めました。
食後少し時間が経っているのか、毛繕いするもの、追いかけっこするもの、ただぼーっと座っている(ように見える)ものなど、普段の様子が見れてよかった。
またここには色々な鳥が来ていました。南国らしい色鮮やかなブルーの小鳥や大きくくちばしの出たサイチョウの一種など、ロバートさんが次々探して「ホラ」と教えてくれます。
とても静かで落ち着く場所でした。

日本人墓地

サンダカンには日本人墓地があります。
昔日本からボルネオに渡った日本人の娼館の女将が作った墓地で、異国で亡くなったからゆきさん達が眠っているのです。昔といってもわずか数十年前のことですが。
ジャングルがキャンセルになり予定を切り替えたので、ここに寄ってくれる様ロバートさんに頼みました。
墓地は山の上の方にあります。その山の斜面一帯が墓地になっているようで、中国系のお墓、クリスチャンのお墓、そして奥の方に木々に囲まれてひっそりとこじんまりと日本人墓地がありました。

遠い異国の地でのお墓なんてどんなもんだろう・・と思っていましたが、海の見える見晴らしの良い高台で、少しホッとしました。少しお祈りをし、現代日本の技術を結集したおかし=チョコをお供えしてきました。
お墓には他にも誰かがお供えして行ったらしい日本酒が置いてありました。

結局ジャングルには行けませんでしたが、サンダカンでの観光はゆっくりのんびりとしたもので、私なりに楽しく過ごしました。
今回お世話になったロバート氏がやはりとてもいい人で助かりました。丸1日運転手&ガイドをやってくれましたが、いつもニコニコして色んな人と気さくに話していたし、運転中はタバコを我慢するという気配りもするし、過剰にフレンドリーでもなく気が弱くて女房に負けてるし、こうでなければ一緒はきつかったかも。一緒にご飯食べたりお茶飲んだりもしたので。


コタ・キナバル/クリアス川リバークルーズ

コタキナバルに戻った翌日。夜中から雨が降り出し、朝起きてみると窓の外は雨・雨・雨。
アジアの雨期にありがちなザーッと降ってすぐ上がるスコールではなく、厚い雲で覆われた空からはしっかりとした雨が降り続いています。
今日は楽しみにしていたプチ・ジャングル体験である「クリアス・リバークルーズ」に出かける日@雨天決行・・。

ツアーはホテルまでの送迎をしてくれるので、昼過ぎにスタッフが迎えに来てくれました。
本日の参加者は、ヨーロッパからの老夫婦が2組・マレーシア人母娘1組・日本人1人旅1組(私)。

車はコタキナバルの街中を出ると、日本的に言うと高速道路のような道をひた走り、たくさんの野原や木々や民家を通り過ぎていきます。出発した時にはひたすら降っていた雨も、郊外に向かうにつれて小雨となり、クリアス川沿いに着く頃にはすっかり上がっていました。それでも、空にはどんよりとした雲がかかっていて、いつ雨が降ってもおかしくない天気ではありましたが・・。

2時間以上走ってやっと目的地に到着しました。
川沿いに造られたロッジのようなカフェに入り、まずはお茶の時間です。
各々コーヒーや紅茶、ちょっとしたお菓子などをもらい、テーブルでくつろいでいると、別の参加者グループが到着しました。ここで他のグループと合流し、リバークルーズに出かけるのです。

あちらのグループは不思議と日本人が多い。すぐ横のテーブルに日本人カップルが来たので、ひとりぽっちだった私は嬉々として話しかけましたが、どうやら新婚旅行組だったらしく・・・。甘ったれた声ででちゅまちゅ語を話すカップルは、私に話しかけられると社会性を取り戻さざるを得ないのか、微妙な空気が流れるのでした。

っち・・。チャラチャラしおって!
ジャングルではそういう輩から脱落していくんだよ。

全員がお茶の時間を終えると、ボートに乗り込むためにぞろぞろと川沿いに向かいます。
パラパラと小雨が降ったり止んだりし、今のところポンチョを出すほどでもないのですが、何とかこのまま本降りにならずにいてもらいたい。
ボートには10人前後が乗るのですが、雨が降ると屋根のシートを出して行くことになるので、視界も悪くなるし、景色もよく見えない。我々のボートは覆いを外して出発しましたが、船によってはシートをかぶせて出発するところもあります。


川の周りはまさにジャングル、といった風景。
覆いかぶさるように背の高い木々がずーっと生えていて、低い潅木も緑がもくもくと生い茂っています。

ボートは動物・鳥を見かけるとしばらく止まるのです

川幅の広いところをボートでゆっくり進んでいくと、ちらほらと動物が現れました。水面をすべるように飛んでいく白い鳥(白鷺に見えた)や、ブルーと黄色の配色が素晴らしい小さな鳥。
そしてたくさんのおサル。しっぽの長いグレーのモンキーや、茶色で変な顔のモンキーがグループで出現。おサルは群れで生活するので、1度にたくさん見れるのです。
とにかく、ボートに乗った10数人が「動物動物・・動物はどこだ!?」と全力で探しているので、その集中力はなかなかのものなのです。少しでも動くものは見逃さない。

エコツアー用に双眼鏡も持っていったのですが、全然使いませんでした。動物や鳥は急に動くので、双眼鏡で覗いて対象物を見つけるのも面倒なのです。肉眼の方がずっといい。

ボートが引き返し地点まで行くと、ポツポツと降っていた雨がやがてザーザーとなり、結局屋根の覆いを出して戻りました。

カフェに戻ると夕食の時間です。もう新婚でちゅまちゅカップルに話しかけるのはやめて、1人で食べよ・・と思ったら、行きの車で一緒だったマレーシア人母娘が話しかけてきました。お母さんは英語スコシ・・でしたが、娘の方は流暢かつわかりやすい言葉で話してくれます。
20代後半らしい彼女はかなり裕福な生活を送っているらしく、正直言ってすごくきれいでおしゃれです。かつ、海外もヨーロッパから中東・アジア・アメリカほとんどに渡航歴があり、旅の話でもりあがります。

最初、ガイドさんとも英語で話していたのでマレーシア人とは思わず、韓国か中国からの観光客だと思っていましたが、マレーシアも地方によってかなり言葉が違うとのこと。自国内で英語のコミュニケーションになることも多いとか・・おもしろい。我々関東人が沖縄の人の言葉がわからないから英語で話すようなもんでしょうか?ありえないけど・・

夕食後は最後のクルーズ、“ホタルツリー見物”です。
食事中から雨が上がったため、なんとかボートの幌を上げての出発です。
ホタルツリーとは、その名の通りたくさんのホタルが木に止まって光るため、クリスマスツリーのように見えることらしいです。実はこれ一番楽しみにしていました。
真っ暗な中をボートが静かに進み、前方のボートが止まっている横で我々も止りました。皆でじーーーっと木を見つめているので、私もそっちをじーーーっと見たのですが、ん?もしかしてあれ?

大きな木の上の方や下の方で、小さな光がチカッ、チカッ・・と光っています。
ボートと水面が静かになってしばらく時間が経つと、その光も少しずつ増えていきます。

『もっと時間がたつと増えてクリスマスツリーになるかも・・』と思っていたら、いきなり雨が降り出しました。「戻りますよ〜」とガイドさんが言ってボートは引き返すことに。すぐに雨は土砂降りとなり、この日初のポンチョの出番です。
ホタルツリー見物約3分。これは運が良いのか悪いのか??


コタキナバル

5日間はあっという間で、すでに帰国日なのですが、空港には16〜17時頃行けばいいので時間は少しあります。チェックアウト後はパッキングした荷物をロビー横に置いておいてもらいました。こじんまりとしたホテルだったけど設備は整っているし、フロントの人もいつも感じよくて、なかなか正解でした。

昨日とはうって変わって、雲ひとつない快晴。
朝ごはんをどっかで食べたい・・と思いつつ海沿いまで歩いて行くと、市場の上に大きな食堂発見。体育館のような大きなスペースに、周りを調理場兼屋台のお店がとりかこみ、好きなお店で注文ができます。メニューはあるようだけど、マレー語と漢字だけなのでよくわからない。「ビーフン」「チキン」「スープ」の連呼でそんな感じの料理を持ってきてもらいました。
白湯スープのようなあっさりとした塩味に、香りのある野菜とチキンが入ったビーフンは、朝食にぴったりの味。洗面器風のプラスチック容器も旅情をそそるなあ。。

作ってくれた仏頂面の中華系のおっちゃんが、一瞬にこっと笑ってまた調理に戻りました。
コンロから炎が上がってなんかジャージャー炒めていますが、ああいう場面がホント炎の料理人!って感じでおいしそうに見える。背の高い真っ白な帽子かぶって、ウォーターフロントのおしゃれレストランでフレンチを作るシェフより、ずっとおいしそうに見えるな。
・・・いやもちろん、フレンチもおいしいけどさ。

元気が出たのでさっそく買い物&マッサージへ。

おいしそうなパン屋がたくさんありました。
まずはお土産を見るために、フィリピノマーケットのハンドクラフト・センターへ。海沿いにあるお土産街で、カウンターだけの小さなお土産屋さんがぎーっしり詰まった市場です。アジアの市場、ってかんじです。
しかし中身は良くない・・・残念ながら。店の作りはほぼ全て同じで、アクセサリーを売るガラスのショーケースと雑貨をぎっしり並べた棚。アクセサリーは原価の安そうなパール系か、ピカピカ光るビースやガラスを使ったもので、とても日本では使えない・・そして雑貨は大きく「サバ!」(サバ州ね)とか「コタキナバル!」とか書いてあって、上に同じ。
うーん、雑貨レベルは東南アジアの中でも結構低いかも。前回行ったのがベトナムとバリ島だったからなあ・・。

結局何も買わずに次はコタキナバルで一番にぎわっている、と言われるセンターポイント(大型ショッピングセンター)へ。
さすが!の賑わいです。平日なのに「どこから来たのか?」ってくらい人がいっぱい。

小さなお店がびゃーっとたくさん集まっていて、服・雑貨・CD・DVD・電気屋・携帯屋・そして食べ物。服飾雑貨に関してはファンシーなものが多く、デザインも80年代風で安っぽいのであまり欲しくはなりません。
結局“素敵なお土産”は諦めて、地下のスーパーマーケットへ行き、マレーシア名物の紅茶を山のように購入。

センターポイントにはマッサージ屋さんも入っているので、ボディ&フットマッサージ(60RM)を受けてきました。
最初はボディ担当の全身オイルマッサージ。この人がまたすごい力があって、とにかくぎうぎうぎう〜っと押しまくります。でも痛い方が効くと思ったので、「イタイ〜?」と聞かれても「まあダイジョウブ」と答えてしまう。するとさらにぎうぎうぎう・・・。
お姉さんはあえて強く押してくるのか、さんざんぎうぎうやった後に、「ユーアー ソーストロングボディねー」と言って出て行きましたが、褒めてんの??

次にフットマッサージ担当が入ってきて、やはりオイルを使ってフットマッサージを始めましたが、これまたぎうぎうぎう・・と押していきます。この店はやたらと指圧が強いですね。
押されると「イタイ!」と思う場所があるとしますね?すると不思議とそこを念入りに押しまくって凝りを取ろうとするのです。声に出していないのに・・・確かに腕はいい!見事に痛い所ばっか集中的にやってくれるから。

全身がほぐれて、身体もかるーくなった感じでホテルに帰りました。
オイルマッサージをしたため、全身がオイルでぺたぺたです。フロントで共同シャワーを使わせてくれるように頼み、荷物から洗面用具を出してシャワールームへ。オイルをきれいに洗い流してさっぱりすると、今度こそホテルにお別れです。

夕方になってきましたが、まだまだ日が高く、空港に行くのがもったいない。
でも飛行機の時間があるため、タクシーに乗って空港へ向いました。さよならコタキナバル。




マレーシア・ボルネオ島旅行感想

今回はジャングル訪問、エコツアーという今までやったことのない部類の旅行をするつもりでした。あいにくの天気でジャングルには行けませんでしたが・・。
また、次々とトラブルが起こるため(半分以上は自分の責任ですが)、気分の浮き沈みが激しい旅行ともなりました。これだけマイナス面があったにも関わらず、結果的にいい印象を持って帰っているのは、ひとえにボルネオ島の町の雰囲気と人々の印象の良さにあると思います。対:人に関して、いやなことがひとつもない旅行はめずらしい。

マレー半島側はもう少し違うかもしれませんが、ボルネオはまだあまり観光地化されていない印象です。
道路や町の様子も比較的のんびりしていて、人々も普通に親切に接してくれます。穏やかな印象があったので、個人旅行がかなりしやすいのではないかと思います。















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